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    相続・遺言

成人にならないと、遺言は書けないのでしょうか?
満15歳になれば、遺言をすることができます。

パソコンやワープロでないと、遺言は書けませんか?
自筆証書遺言は、内容のすべてを「自筆」で書くことが必要です。機械で打ったものでは、本人の本当の意思かどうか分からないからです。

書く内容に決まりはありますか?
遺言を残す人が、遺言書の全文、日付、氏名を自筆で書き印鑑を押します。住所は無くてもよいですが、書いた方がよいでしょう。
包括的な記載でも可能ですが、できるだけ財産は特定するほうがよいでしょう。また、自筆証書および秘書証書は必ず封印してください。

印鑑は、実印ですか?
認め印でかまいません。

一度書いた遺言を後で変更したくなったらどうするのですか?
変更した場所を示し、押印し、変更したことを付け足して書き、その場所に署名をします。

夫婦二人で遺言を残すことはできますか?
遺言は、あくまでも本人の意思による必要があるので、共同ではできません。

自分で書いた遺言では、不安があるのですが?
公正証書による遺言がよいでしょう。

公正証書遺言の場合も認め印でよいのですか?
この場合は、遺言者は実印が必要です。2人の証人は、認め印でかまいません。

遺言者が寝たきりで公証役場まで出向けない場合は、どうしたらよいでしょう?
遺言者の依頼によって、入院先の病院や自宅に出張してもらうことができます。

遺言者が亡くなった後、遺言が見つかった時は、勝手に開けて見てよいのですか?
公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合は、亡くなった人が住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所に、遺言書検認の請求をしなければなりません。また、封印のある遺言書は、裁判所で相続人かその代理人の立ち会いのもとで行わなければなりません。

相続と遺言の違いとは何なのでしょうか?
相続と遺言(死因贈与も含む、以下同じ)は、どちらも人の死後に残された財産を、誰がどのように承継するかを定めた民法上の規定です。

相続は、法律上当然に相続人に、財産が承継される規定であり、遺言は、故人の生前の意思表示に基づいて、財産が承継される規定です。

どちらも開始する原因は、人が死亡した時です(民法第882条・民法第985条)。

相続における対象者は、遺族であり、遺言の対象者は、特に特定されておりません。

具体的な相続の開始原因

・自然死亡
・認定死亡(戸籍法第89条)
・失踪宣告(民法第30条・第31条)
・同時死亡の推定(民法第32条の2)

同時死亡と推定される者の間では、相続関係は、生じません。

法定相続人の順位は、決まっているのでしょうか。又、その時の法定相続分は、どうなっているのでしょうか。
1.法定相続人の順位

・配偶者は、常に相続人となります(民法第890条)(内縁の妻は、対象となりません)
・血族相続人

第1順位 子
常に相続人となります(民法第887条1項)養子も相続人です。(養子は実親の相続をする権利も有します。)子には、胎児を含みます。(民法第886条)

第2順位  直系尊属
子供がいない場合に相続人となります。(被相続人に近い者が先)

第3順位  兄弟姉妹
子供も直系尊属もいない場合にだけ相続人となります。

・非嫡出子も相続人ですが、相続分は嫡出子の2分の1(民法第900条4号但し書)。相続人としての地位は、嫡出子と同じ。
・代襲相続

相続人である子又は兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡し、又は欠格・廃除により相続権を失った場合において、その者の子が代わって相続人になる場合のこと(民法第887条2項・3項、889条2項)。
・相続人の直系卑属(子供)の場合は、どこまでも続きます(民法第887条3項、再代襲・再々代襲)。
・兄弟姉妹の子も代襲相続出来るが、その子の子には、代襲相続権はありません(民法第889条2項)。
・代襲者の相続分は、被代襲者と同じ。被代襲者が、放棄した時は、代襲原因となりません。
・子・直系尊属・兄弟姉妹が複数人いる場合は、人数に応じて均等分割が原則。子の場合は、嫡出子と非嫡出子とで差が出ます
・代襲相続においては、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数に応じて均等分割。

2.法定相続分
配偶者 2分の1 子 2分の1
配偶者 3分の2 直系尊属 3分の1
配偶者 4分の3 兄弟姉妹 4分の1

相続や遺言の対象となる財産には、どのような物があるのでしょうか?
被相続人の財産に属した一切の権利義務(民法第896条)をいい、積極財産としてのプラス財産(現金や不動産など)と消極財産としてのマイナス財産つまり債務(借金など)があります。
厳密には権利義務とはいえないものであっても財産法上の法的地位といえるものならば相続の対象となります。(例:占有者の善意悪意、物上保証人としての責任、契約申込者の地位など。)

相続財産に含まれないもの

・財産に関しない権利義務(民法第896条本文)
・被相続人の財産に属さない権利義務(民法第896条本文)
まぎらわしいものとして 香典・生命保険金請求権・死亡退職金その他の遺族給付金・被相続人の志望に基づく損害賠償請求権
・財産上の地位だが、本人の死亡により消滅することが決定しているもの(一身専属的な権利義務の法定例といえる)
・一身専属的な権利義務(民法第896条但書)
・祭祀財産(民法第897条)

ケースバイケースのため注意が必要なもの

・借家権
・生命侵害による損害賠償請求権
・社員たる地位(社員権)
・ゴルフクラブの会員たる地位    など

→ (1)の借家権について、内縁の夫や妻または同居の者の借家権の承継は、相続に基づくものではなく、同居者保護の観念から、法的構成がなされています。

相続財産は、誰にどのように帰属し、管理されるのでしょうか?
原則:当然承継

相続人は、相続開始の時から当然に相続財産を承継する(民法第896条本文)

・共同相続財産の帰属
相続人が複数人いる時には、被相続人の相続財産(債権債務)は、個々の相続人への具体的な帰属が決まるまでは共同の管理のもとに置かれます。
・共同相続財産の管理
複数の相続人がいる時には、被相続人の相続財産(債権債務)の管理については、管理行為として、保存行為・変更行為・その他の管理行為ができます。
管理の費用は、相続財産の中から支払います。(民法第885条)

相続の承認・放棄とは、どういう効果を持つものなのですか?
1)相続の承認の種類

・単純承認(民法第920条)
相続人が被相続人の権利義務を無限に相続すること。
・限定承認(民法第922条)

相続財産の限度においてのみ相続債務・遺贈を弁済することを留保して相続を承認すること。

2)放棄(民法第938条・第939条)

・民法所定の方式に従って行われる、相続財産を一切承継しない(相続人にならない)旨の意思表示をいいます。
・原則として、熟慮期間としての「3ヶ月」以内に、家庭裁判所に放棄の申述をし家庭裁判所で、本人自らの意思であることの確認を受けることで効力が生じます。
・例外としては、熟慮期間経過後に、被相続人の相続財産が、債務超過であることが、相続人において過失なくして、判明した場合には、その債務超過が明らかになった時から、起算することになります。(最高裁判例)

相続財産を、数人の相続人で分けるには、どのようにすればいいのでしょうか?
1)遺産分割の方式

共同相続財産の最終的帰属を決定するための手続きで、当事者間の合意によるものと、家庭裁判所の審判による場合とがあります(民法第907条)。

2)遺産分割をする上での注意点
・協議による遺産分割は、相続人となる者全員の合意が必要です。この合意が得られない場合は、家庭裁判所の審判を求める事になります。

家庭裁判所の審判は、まず、調停を行い、そこで決着しない場合に行われます。また、その調停も、当事者間の協議が整わなかったときや、当事者となる者の所在が不明であるとか、最初から当事者間で協議が整わない事が明白である場合に、起こした方が後々のことを考えれば良いでしょう。

・相続人のうち、子供が胎児であるとか、未成年者である場合には、家庭裁判所に特別代理人を選任して貰わなければなりません。親権者と子の利益相反行為:民法第826条)
・寄与分(民法第904条の2)について

・相続人中に被相続人の財産の形成・維持につき特別の寄与をした者があるときは、遺産分割に際してその点を考慮しないと他の相続人との関係で不公平であることから、認められた制度です。

・協議による遺産分割又は家庭裁判所の審判(調停)のどちらで、決めてもかまいません。

・考慮の対象となる「寄与」とは、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき相続人によってなされた特別の寄与です。

特別受益の持戻(民法第903条・第904条)について

・相続人中に被相続人から特別の財産的利益を受けた者があるときは、遺産分割に際し、その点を考慮して決めないと他の相続人との間に不公平が生じるため、その不公平を計算上生じさせないようにする制度です。

・相続人の受けた遺贈や相続人が生前に被相続人から受けた、ある程度高額の財産的利益であって、特定の相続人に与えられたものです。

具体的事例としては結婚時の持参金、居住用建物の購入資金・開業資金等があります。

3)分割の方法

「現物分割」「個別分割」「換価分割」「代償分割」などの方法があります。どの方法で分割するかは、協議による分割、家庭裁判所の審判での分割のどちらの場合でも、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」定めることが必要です。

4)遺産分割の効力

遺産分割によって、共同相続財産は相続人各人の固有財産に転化します。この効果は民法上、相続開始時にさかのぼる(民法第909条)とされていますが、分割の結果、初めて相続人の固有財産になるというほうがわかりやすいでしょう。

遺言の方式は、あるのでしょうか?また、その遺言には何を書けばよいのでしょうか?
「遺言」とは、一般的には死後に言い残す言葉、又は人の最終意思(遺志)を表明する行為をいいますが、法律制度としての『遺言』は、そうした死者の遺志(の表明)のすべてを含むわけでではありません。

・遺言可能な事項が限定されています(遺言事項)。
・民法に定められた遺言の方式に従ったものでなければなりません。

1.遺言の種類
普通方式遺言には、次の3種類があります。

(1)自筆遺言証書(民法第968条)
遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名を自署し、これに押印することにより成立する遺言です。

問題となる点
タイプライター、ワープロ、点字機を用いたもの及びテープレコーダー等に吹き込まれたものは自筆証書とはなりません。作成年月日は、総て書き込まれていなければなりません。作成年月日は、遺言本文に書かれていなくても、例えば封筒に書かれていても良いですが、あくまでも遺言者自身の自筆でなければいけません。
氏名については、雅号や通称でも良いです。押印に関しては、遺言者自身の印でなければなりません。但し、実印でなくても良く、又、拇印でも良い。

(2)公正証書遺言(民法第969条)
2人以上の証人の立会いの上、遺言者が公証人に遺言の内容を口で伝え、公証人がこれを筆記して遺言者および証人に読み聞かせ又は閲覧させ、遺言者および証人が筆記の正確なことを承認した後各自署名押印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印する方式をとる遺言です。

口がきけない人に対しては、平成11年の民法改正により、第969条の2が追加され、通訳の申述又は自書して、第969条の口授に代えることができ、また第969条の読み聞かせに代えて、通訳人の通訳で伝えることで、読み聞かせに代えることもできるし、直接遺言者又は証人に閲覧させてもよいとなりました。

公正証書遺言の利点は、他の遺言と違って、家庭裁判所の検認がいらないというところです。

(3)秘密証書遺言(民法第970条)
遺言者が、遺言者または第三者の書いた遺言書に署名押印し、その証書を封じて証書に用いた印章で封印し、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出し、自分の遺言書である旨、また遺言書が他人によって書かれているときは、筆記者の氏名・住所を申述し、次に公証人が封書に証書を提出した日付および遺言者の申述を記載し、最後に遺言者・証人・公証人が、封紙に署名押印するという方式の遺言です。

遺言書は、遺言者が署名押印したものであればよく、筆記者・筆記の方式(ワープロ・タイプライター等)は問題にならないと解されています。

遺言書の印と封印に用いた印が違っていれば無効です。

遺言者が全文を自書し、日付を記載している等、自筆証書としての形をととのえた場合には有効とされることもあります(民法第971条)。

※3つの普通方式の長短

自筆証書遺言は簡単であり、費用もかからないのが長所であるが遺言書の滅失・偽造・変造のおそれがあり、検認が必要だという短所もあります。

公正証書遺言は、遺言の存在と内容が明確であり、遺言の執行に検認を受ける必要もない長所がありますが、存在や内容を秘密にできないし、手続が複雑で費用もかかるという短所があります。

秘密証書遺言は、内容を秘密にしておくことができますが、手続が複雑であり、費用もかかり、検認が必要という短所があります。

2.遺言事項

(1)遺産相続に関する事項:

相続人の廃除および廃除の取消す行為  

相続分の指定および指定の委託する行為

遺産分割の禁止、共同相続人間の担保責任の指定

遺言執行者の指定および指定の委託など

(2)財産処分に関する事項:

遺贈・遺贈減殺方法の指定
寄附行為
信託の設定など

(3)身分行為:
認知・後見人の指定・後見監督人の指定、その他

3.遺言の効力
遺言時に意思能力があれば有効、無ければ無効
満15歳以上の者は単独で遺言ができる。

成年被後見人の遺言については、本心に復しているときは、2人以上の医師の立ち会いを得て、単独で有効な遺言をすることができる。

意思能力の無い場合の遺言は無効。

詐欺または強迫による遺言は取り消すことができる。

4.遺言の撤回(民法第1022条以下)

条文上は「遺言の取消」となっているが、ここでいう「取消」は、有効に作成されたがまだ効力の発生していない遺言について、将来におけるその効力の発生を阻止する遺言者の行為である。

原則として、自由にでき、法律上も、遺言者はその撤回権を放棄することができません(民法第1026条)。

撤回の方法

前の遺言の効力を否定する表現があれば良い。
前の遺言の全部でも、一部でも構いません。
遺言の方式によらなければ為らないが、前の遺言の方式でなくても良い。
法律的に撤回したとみなす場合があります。 それは、遺言に抵触するような生前行為等を遺言者がした場合です。 

5.遺贈の効力

遺贈とは、遺言者が、遺言によって、包括的または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分すること。(民法第964条)

遺贈の種類
包括遺贈
特定遺贈
停止条件付遺贈
解除条件付遺贈
始期付遺贈
終期付遺贈
負担付遺贈

※遺贈の承認・放棄:受遺者は自由に承認・放棄ができます。

6.遺言の執行

遺言者の死亡(=遺言の効力発生)後、遺言の内容を実現する為に必要な行為をすることです。遺言執行者を必要とするかは、遺言事項によって定まります。

遺言執行者

(1)指定・選任:遺言執行者となるのは、遺言者によって指定された者、又は家庭裁判所によって選任された者(民法第1006条・1010条)で、1人に限定されません。

(2)就任・辞任・解任:指定又は選任された遺言執行者も就任を強制されるわけではない。いったん就任した後でも、正当な事由があれば辞任できるが、就任を承諾したならば誠実にその任務を遂行する必要があり、もし任務を怠った場合には解任されることもあります。

(3)遺言執行者の権利義務

相続財産目録調製義務

遺言執行に必要ないっさいの行為をする権利義務、相続財産の管理、遺贈義務の履行、遺言認知の届出など。必要に応じて訴えを提起したり応訴したりすることも含まれます。

費用償還請求権
報酬請求権

(4)遺言執行の費用:相続財産より負担します。

生命保険金の死亡時の受取人を、妻とか配偶者又は具体的な名前を挙げていたり、単に相続人としている場合と、死亡時受取人の指定をせずに、亡くなった場合に違いはあるのですか?
原則的には受取人として指定された者が原始取得するのであって、生命保険金は、相続財産とはなりません。しかし、受取人を指定せずに死亡したときには、相続順位に従った相続人が取得します。
※原始取得とは、ある権利を他人(前主等)の権利に基づかないで取得することです。
ただし、相続税法上、みなし相続財産として取り扱われます。

生命保険金の被保険者と受取人が違う場合に、何か特別の扱いがあるのですか?
民法第903条に規定する特別受益として、生命保険金は考慮されるべきものです。
被相続人=保険契約者がその財産の中から保険料を給付している対価なので、実質的には受取人への贈与とみられるからだということを根拠にしています。
※どれだけを特別受益とするかについて、

1実際に支払った保険料額
2被相続人の死亡時における解約返戻額
3被相続人が死亡時まで払い込んだ保険料の保険料全額に対する割合を保険金に乗じた金額
などの考え方があり、3.が次第に有力になりつつあります。

相続税の申告の場合において、財産はどう評価されるのですか?
基本的に総ての財産が、時価評価されます。

・不動産 土地:そのときの路線価を基準としますが、 固定資産評価額の定倍率で計算することもあります。
・家屋:固定資産評価額を基準とします。
・その他:借地権等その他の不動産関係の課税基準は、相続税法によって定められています。
・現金:相続時に存在していた金額
・預貯金:相続時に存在していた金額に利息が付された金額
・有価証券:ほとんどが相続時の時価で評価されます。
※詳細については、個々の事例によって違ってきます。

相続税の計算方法を教えてください。
相続財産の課税対象となる価格から基礎控除額・債務控除額を差し引いた課税標準額を算出し、それに対して一定の税率を金額に応じて累進課税されます。
そしてその他の控除すべきものがあれば、それを控除した額が相続税として課税されます。

・正味課税遺産額を算出する
=(遺産総額)−(債務や葬式費用の額)+(相続開始前3年以内の贈与財産の価額)
・課税遺産額を算出する
=[正味の遺産額(各人の課税価格の合計)]−[基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人数*)]
*(実子がいる場合の養子は1人まで、いない場合は2人までとする)
・課税遺産額を法定相続分で按分する。
・相続人ごとに税率をかけて税額を合計する

相続税が、課税される時に控除されるものは何ですか?
◎遺産総額から控除されるものは次の3つです。
・非課税財産
墓所、霊びょうおよび祭具
死亡保険金、死亡退職金のうちそれぞれ500万円×相続人の数が非課税
相続人から国等に対して贈与された相続財産
・債務
・葬式費用

◎課税価格から控除されるもの
・基礎控除
・債務控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)

◎養子は実子がいない場合は、2人まで、実子がいる場合は1人までを、法定相続人の人数にカウントします。
◎民法第817条の2第1項の特別養子縁組による養子となったもの、および代襲相続者は、法定相続人の人数にカウントします。
◎相続放棄があった場合には、相続放棄がなかったものとして、相続人の人数を定めます。
◎相続税の総額から控除されるもの
・未成年者控除:20歳までの1年につき6万円
・障害者控除:70歳までの1年につき6万円
・特別障害者控除:70歳までの1年につき12万円

◎配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者控除額=相続税の総額× (1)・(2)のいずれか少ない方の金額 / 課税価格の合計額
(1) 配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額
(2) 配偶者が実際に取得した課税価額

みなし相続財産という言葉は、どういう財産をいうのでしょうか?
本来は相続財産でありませんが、被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産を税法上みなし相続財産として扱うもので、これに、生命保険金・死亡退職金が該当します。

父が、第三者に全財産を譲るという遺言を残して亡くなりましたが、子供である私には、父の相続財産を少しでも取得できないものでしょうか?(遺留分)
死者の財産に対する遺族の期待を保護する制度として遺留分があります。遺留分とは、個人の財産処分の自由を一定程度制限し、遺族のため、財産の一部を保留させる制度です。

・遺留分権利者
兄弟姉妹以外の相続人すなわち配偶者、子、直系尊属です(民法第1028条)。代襲相続になる場合の代襲者も含まれます。

・遺留分の割合
直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産の3分の1、その他の場合には2分の1(民法第1028条)。
遺留分権利者が複数の場合は、これに法定相続分を乗じたものが各人の遺留分になります。

・遺留分減殺請求権
遺留分の侵害を回復するための権利です(民法第1031条)。相続によって受ける利益の価額が慰留分額を下まわる場合に、その差額を限度として成立します。



・性質
規定上「請求〔権〕」という言葉が用いられてまぎらわしいですが、形成権(権利行使をするという意思表示だけで効果を生じさせうる権利)です。
すなわち、遺留分を侵害する遺贈又は贈与を失効させる形成的効力をもつ権利です。

・権利者
遺留分を侵害された遺留分権利者又はその承継人です。

・減殺請求の相手方
受遺者・受贈者たる相続人のほか、他の相続人の遺留分を侵害する相続分指定を受けた相続人も含まれます。

・減殺の方法
減殺する旨の意思表示だけで、裁判によらなくてもよいです。
価格算定の基準時は、現実に弁償がなされる時です。

・期間制限
減殺請求権を行使すべき期間は限られており、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき遺贈又は贈与のあったことを知った時から1年(時効期間)、
相続開始の時から10年(除斥期間) が経過すると請求できなくなります。

・遺留分の放棄
相続開始前の放棄:家庭裁判所の許可を必要とします。
相続開始後の放棄:自由にできます。

遺言を書き残すとは、どの様なことでしょうか?
通常、人が死ぬとその人の遺産は法定相続人が相続するのが一般的ですが、遺言書があれば、話は別です。そこで、この遺言書のことを説明します。遺書(いしょ)が一般的には「死に際に残す言葉」であるのに対して、遺言(ゆいごん、いごん)は残された遺族に対する、いわゆる「愛のメッセージ」といえます。具体的には、もし、貴方の死後、その遺産を特定の人に相続させたい場合、あるいは、その遺産をめぐり、あなたの身内(相続人)が相続争いで困らないように万一に備えて、貴方の意思を身内に伝えたい場合に作っておくのが遺言であります。ただし、民法により定められた方式で書かれているものを法的に有効な遺言書といいます。(民法960条〜1044条)

私達夫婦には子供がいません。私名義の不動産(土地・建物)および預貯金があり、私が死んだ後は妻に譲りたいと考えています。私の両親はすでに亡くなっており、私の兄弟は4人です。妻一人に私の財産を相続させることはできますか?それとも生前に贈与した方がよいのでしょう?
法定相続になりますと、奥様が4分の3、残りの4分の1をご兄弟で配分することとなります。ご兄弟の方が相続権を主張した場合、不動産も持分で所有することとなってしまいます。だからといって、生前贈与をするべきでもないでしょう。税金の面から考えましても得策ではないと思われます。今回の場合なら、「奥様一人にすべての相続財産を譲る」という遺言をすることができます。また、この場合、兄弟には「遺留分」を主張する権利がありませんので、その遺言はそのまま有効に成立します。

相続財産に負債の方が多い可能性があります。どうすればいいのでしょうか?
相続財産のうち、負債の方が多い可能性がある場合は、限定相続を行ってはどうでしょうか。限定相続とは相続人全員の意志で、相続を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすると、遺産総額を超えた債務については責任を負う必要がなくなります。

父が亡くなりました。遺産を相続するにはどのような手続きをすればよいのでしょうか?
概ね次の手順で手続きをします。詳細は行政書士にご相談ください。

・お父様が遺言を残されていないかご確認ください。遺言があれば、遺言に基づく遺産分割を行う必要があります。

遺言がない場合は、次の手順に進んでください。
・お父様の出生から死亡までの戸籍などを調査して、相続人を特定します。
・民法900条に基づいた法定相続分の割合で相続するのか、相続人全員による遺産分割協議に基づく割合で相続するのか、相続人で決定します。
・法定相続分による相続の場合は、上記2の戸籍などの公的証明書類を添付して分割の手続きを行います。遺産分割協議による相続の場合は、上記2戸籍などの公的証明書類に遺産分割協議書の添付が必要です。
・遺産の種類ごとに次の場所で手続きを行って相続手続きが完了します。

・不動産 管轄の法務局へ
・自動車 国土交通省の全国の運輸支局へ
・預貯金 金融機関へ
・現金  相続人による分割

先日主人が亡くなりました。そこで一つ気になることがあります。それは、主人がなくなった今現在でも借家に住むことができるのでしょうか?借主は亡くなった主人だったので、もし大家さんから出て行くように言われると従わなければならないのか不安です。
大丈夫です。家を借りその家を利用する権利を賃借権といいますが、この権利は相続財産ですので、あなたが相続放棄等をせずに相続されているのでしたら、たとえ家主から出て行くよう申し出があったとしても相続した賃借権を持って対抗できます。
しかし内縁の妻(夫)など、法律上、夫婦関係にない場面は一概にいえません。

内縁の夫が死亡して借りていた家の大家さんから「契約者がお亡くなりになられたので出て行っていただけませんか?」という通知を受けました。確かに借主は内縁の夫で私ではありません。この場合私は、家を出て行かなくてはいけませんか?
あなたが家主の言い分をはねのけるためには、あなたがその家に居住する権原(権利を主張するための法律上の原因)が必要です。ご相談内容では、亡くなられた内縁のご主人(「以下ご主人といいます。」)に相続人がいるかどうか不明ですが、相続人がいる場合とそうでない場合では大家さんに対して主張する権原が異なります。

◇相続人がいる場合

・法律上、内縁者であるあなたには相続権がないため、相続財産である賃借権は相続人に相続され、あなたには帰属しないので家主に対して賃借権を主張することはできません。しかし、いくらあなたが戸籍上の妻ではないとしてもご主人が亡くなられるまでの間、事実上夫婦関係を築かれてきたのですからそれをご主人が亡くなられたという偶然の事情だけで生活基盤を失われるのは妥当ではありません。やはりあなたの“事実上夫婦として生活してきた基盤”は保護されるべきです。
・どのように保護されるのかは争いのあるところなのですが、判例は「賃借権自体は相続財産であるので内縁の妻には承継されないが、内縁の妻等は相続人の承継した賃借権を援用する形で居住権を主張できる」としています。つまり、あなたは内縁の夫の相続人が持つ賃借権を利用して、住む権利を主張し、家主の言い分をはねのけることができるのです。
・もう一歩踏み込んだ問題について考えてみましょう。賃借権が相続人にあり、内縁者は相続人の持つ賃借権を利用して居住権を主張する、ということは賃借権を持つ相続人の意思次第で、内縁者は居住権を奪われるのではないかと危惧されます。つまり相続人が内縁者に対して「賃借権を持っているのは相続人である私であり、内縁者であるあなたに賃借権はないのだから家を明け渡してくれないか?」ということを言ってくることも十分に考えられます。そういう場合、賃借権を持っていないあなたは出て行かなくてはならないのでしょうか?この点、判例は賃借権を持つ相続人が家を利用するにつき特別な事由があることを要求しています。つまり特別な事由がないのに明け渡し請求をすることは権利濫用に当たるとし、認められないということです。以上のことから、あなたは、相続による賃借権を持って大家さんの言い分をはねのけることはできませんが、相続人の有する賃借権を援用して大家さんの言い分をはねのけることができます。

◇相続人がいない場合

借地借家法第7条の2第1項において内縁者に相続人がいない場合には、内縁者に賃借権を承継させると規定しています。内縁者には相続権がありませんので、被相続人の財産は相続人にすべて帰属することになるのですが、この条文の趣旨は、もし被相続人に相続人がいない場合にはそれまで生活を共にしてきた内縁者に特別に承継させようというものです。以上のことから相続人がいない場合、あなたは借地借家法第7条の2第1項に基づいて賃借権を承継したことを持って家主の言い分をはねのけることができるのです。
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